探偵たいたんです

新美南吉はなぜ「ごんぎつね」を殺してしまったのか?
探偵はいたずら好きで好奇心も旺盛だ
深い草に覆われてた畑に流れる川のほとりで
対象車両と浮気相手の女の車両が停まっている
探偵は見つからないように、そうっと草の深いところへ歩きよって、そこからじっとのぞいてみました
車の中は人影が寄り添い合って動いている
「ははん、ごんぎつねの兵十のように、うなぎでも掴んでいるのかな?」
暗視カメラを構え、ファインダーを覗くと
草と草の間に、対象者と女が悲しそうな顔で抱き合っているのが見える
女は泣いているようだ
対象者は女にキスをすると抱きしめて
窓の外を眺めているようだ
対象者は探偵の方向を向いており
探偵は対象者と目が合っているような錯覚に陥った
気付いているようではないが、悲しい何かをうったえかけているような目だった
この光景を依頼者が見たら激怒し
なぜ、もう会わないと約束したのに
あなたたちには罪悪感とかないの?!
とふたりの神経を疑うだろう
この調査に至る前に
依頼者は、ふたりの不倫が発覚すると
対象者に詰め寄り
浮気相手の女に謝罪要求、念書を書かせ
会社に対しても、監督管理不足を訴え、移動、減給を要請したそうだ
そうなると、対象者も浮気相手の女も
罪悪感が膨らむ前に喪失感と怒りが生まれる
ごんぎつねも、自分がうなぎを盗んでしまった為に、兵十の母が死んでしまったと思い
自分と同じひとりぼっちになった兵十の為に、栗やマツタケを持っていったのだ
相手が悪いと思っても、強制的に制裁を加えるより
悪かったと償いをする期間を与えた方がいい
その後の行動を見てから許すのか判断すれば良いのだ
でも、ごんぎつねも償いをしている時に
自分がこっそり置いてきた食べ物は
神様がくれたものだと兵十が感謝しているのを聞いて
「せっかく俺がお前の為にやっているのに!
神様に感謝するなんて割に合わないなぁ」
と罪悪感を忘れてしまった
結局、ごんぎつねがいたずらしに来たと思った兵十は
栗をそっと置いたごんぎつねを火縄銃で撃ってしまったのだ
「ごん、お前だったのか、いつも栗をおいてくれたのは…」
ごんはぐったりと目をつむったまま、うなずきました
新美南吉もさみしかったのかもしれませんね
喜怒哀楽を持って自分の事を見てくれる人を
大切にしましょう!